木造の実家でも、屋根用化粧スレート、窯業系サイディング、軒天材、天井板、ビニル床タイルなどに石綿が含まれる可能性があるため、構造だけで『アスベストなし』とは判断できません。 一宮で解体する前に、建築・改修時期と図面を集め、資格要件を満たす調査者が書面と現地目視で全材料を確認し、不明材料は分析または含有みなしで計画します。
吹付け材が見当たらなくても、成形板や仕上塗材に含まれる例があります。厚生労働省の解体工事物件事前調査シートも、木造を対象に含め、屋根、軒天、外壁、玄関・廊下、キッチン、洗面などを部位別に確認する構成です。古い家だから一律に含有、比較的新しいから一律に非含有とも決めません。
木造住宅で確認する材料を部位別に分ける
| 部位 | 確認する材料例 | 書面で探す物 | 現地で見る所 |
|---|---|---|---|
| 屋根 | 化粧スレート・波形スレート | 仕様書・改修記録 | 裏面刻印・重なり |
| 外壁 | 窯業系サイディング・仕上塗材 | 品番・メーカー | 増築境・下地 |
| 軒天 | けい酸カルシウム板等 | 立面図・材料表 | 換気口周囲 |
| 室内 | 天井板・壁板・床タイル | 仕上表 | 全室・収納内 |
| 設備周り | 保温材・パッキン | 設備更新記録 | 配管・機械室 |
屋根だけ、室内だけという調査では解体範囲を網羅できません。増築、外壁重ね張り、屋根カバー、浴室・台所改修があると、新しい表面の裏に古い材料が残ることがあります。母屋、離れ、車庫、物置、塀、設備配管を契約図へ書き、どこまでが今回の工事範囲かを調査者へ伝えます。
材料名が同じでも製造時期や品番で含有状況は変わります。施主が表面を割って裏面を確かめたり、サンプルを袋へ入れて持ち込んだりしません。目視できない裏面の確認方法、同一材料と判断した範囲、分析する箇所、含有みなしにする箇所を調査報告書で確認します。
図面がなくても書面調査をそこで終えない
設計図書がない場合は、登記資料、固定資産資料、確認申請の控え、工事写真、保証書、見積書、メーカー名、品番、家族が覚えている改修年を集めます。資料がないこと自体を記録し、現地で部屋ごとの材料と改修境を確認します。古いカタログの画像だけで断定せず、石綿含有建材データベースやメーカー情報を調査者が照合します。
売買後や相続後で履歴が不明なら、『前所有者が大丈夫と言っていた』を調査結果へ置き換えません。天井裏、床下、高所、屋根は安全な方法で調査し、入れない場所が残れば未調査範囲として明示します。家具で隠れた壁や物置の奥も、残置物撤去後に追加確認が必要か決めます。
80平方メートル未満でも事前調査は必要
厚生労働省の石綿総合情報ポータルは、解体・改修の規模の大小にかかわらず、工事部分の全材料について事前調査が必要と案内しています。環境省が示す80平方メートルは、一定規模以上の解体工事について結果を行政へ報告する基準です。80平方メートル未満の調査と報告の違いを分けて理解します。
建築物の事前調査は、2023年10月から一定要件を満たす者が行う必要があります。調査者資格と報告書の確認方法を使い、氏名、講習区分、調査日、調査方法、材料ごとの判定根拠を受け取ります。一戸建て等石綿含有建材調査者の資格範囲にも注意します。
含有あり・なし・不明を見積で分ける
見積書では、事前調査費、分析費、石綿含有建材の除去費、養生、処分、記録、行政報告を分けます。『アスベスト一式』では、どの材料と面積を想定したか分かりません。含有なしと判断した材料、不明で分析待ちの材料、含有みなしで扱う材料を一覧にし、分析結果で金額が変わる条件を契約前に決めます。
元請業者から施主への説明では、調査結果、作業方法、飛散防止、工程、掲示、近隣への対応を確認します。事前調査結果は作業場所へ備え付け、概要を見やすい場所へ掲示する必要があります。屋根や外壁に含有があれば、撤去順序と天候判断を工程表へ入れ、他の解体材と混ぜない処理経路を聞きます。
分析を行う場合は、どの材料から何検体を採るか、同じ材料と判断した範囲、結果が出る日、追加検体が必要になる条件を確認します。採取跡の飛散防止と補修も調査者側の手順で行い、施主が事前に削ったり剥がしたりしません。分析結果の数値だけでなく、試料写真、採取位置、分析方法、判定を報告書へ含めてもらいます。
近隣説明では、石綿がある・ないという結論だけでなく、調査済み範囲、作業期間、粉じん・騒音対策、問い合わせ先を明確にします。未調査部分が工事中に現れた場合は作業を止め、追加調査と計画変更を行う手順を元請業者と決めます。追加費用の承認方法も契約へ入れ、現場で施主へ電話一本だけで即決を求める状態を避けます。
着工前にする三つ
①図面・改修記録・品番を集める、②資格者の書面・目視調査で全材料を確認、③含有・非含有・不明を材料別に見積と工程へ反映します。
木造住宅の石綿調査は、屋根・外壁・軒天・室内を材料単位で一覧にし、分析待ちと含有みなしを分けると、追加費用と工程変更を着工前に整理しやすくなります。
確認した一次情報
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータル 解体業者(2026年9月29日確認)
- 厚生労働省 解体工事物件事前調査シート(2026年9月29日確認)
- 環境省 石綿事前調査結果の報告について(2026年9月29日確認)
石綿の有無は外観や築年だけで断定できません。2026年9月29日時点の公的情報を基に、資格要件を満たす調査者と所管行政へ確認してください。



