実家の解体部分が80㎡未満でも、アスベスト事前調査が不要になるわけではありません。 厚生労働省は規模の大小にかかわらず事前調査が必要と案内し、環境省の80㎡基準は、建築物の解体工事で調査結果を行政へ報告する対象を区切る基準です。「調査する義務」と「結果を報告する義務」を分けて見積を確認してください。

小さな木造住宅だから石綿はない、築年だけで調査不要といった自己判断はできません。2006年9月より前に着工した建築物等では、防火・保温・断熱などの目的で石綿含有建材が使われている可能性があると、厚生労働省の発注者向けページは説明しています。見た目だけで施主が含有を判定せず、資格を確認した調査者へ任せます。

80㎡は「調査不要」の線ではなく「報告対象」の線

環境省は、建築物を解体する作業の対象床面積合計が80㎡以上の場合、元請業者または自主施工者が事前調査結果を都道府県等へ報告する必要があると案内しています。一方、厚生労働省は、解体・改修部分のすべての材料について、工事規模の大小にかかわらず事前調査が必要としています。

工事の例事前調査調査結果の行政報告
建築物の解体・80㎡未満必要80㎡基準だけでは報告対象外。ただし別要件を確認
建築物の解体・80㎡以上必要報告対象
建築物の改修・補修必要請負代金合計100万円以上などで報告対象
石綿含有が判明した工事調査結果に沿う措置が必要建材・作業により発注者届出等を確認

80㎡未満でも、書面調査や現地の目視確認を省いてよいとは書かれていません。また、契約を分けて面積や金額を小さく見せる場合も、環境省は同じ者が二以上の契約に分割して請け負うときは一つの契約とみなすと説明しています。面積は見積書の表現ではなく、実際の解体対象で確認します。

調査は書面と目視の両方、資格者を確認する

厚生労働省の解体業者向け案内では、設計図書等が存在しない場合を除き、文書調査と目視調査の両方が必要です。建築物の事前調査は、2023年10月から建築物石綿含有建材調査者など一定要件を満たす者が行います。一戸建て等石綿含有建材調査者は、一戸建て住宅や共同住宅の住戸内部に対象が限られる点も確認します。

見積では「アスベスト調査一式」だけで終わらせず、調査者の資格区分、書面調査、現地目視、裏面確認、分析が必要になった場合の単価、総合調査報告書まで含むかを尋ねます。分析が必要かは調査結果で決まるため、最初から含有・非含有を断定した定額説明には根拠を確認してください。

調査で石綿なしと判断した建材も、何を根拠に判断したかを報告書で確認します。設計図書、メーカー資料、目視、分析のどれを使ったかが残れば、家族へ工事内容を説明しやすくなります。調査できなかった隠蔽部がある場合は、解体が進んで確認可能になった時点でどのように追加調査し、費用と工程を知らせるかも契約前に尋ねてください。

施主は図面を渡し、調査費と工期を確保する

発注者向け公式ページは、設計図書、建築確認申請の副本など、石綿の有無を確認するうえで役立つ情報を施工業者へ提供する配慮を求めています。図面が見つからない場合も、ないことを伝え、増改築の時期、屋根・外壁・内装を替えた記録、過去の調査報告書を家族で探します。

事前調査費や、含有が分かった場合の除去費、法令を守れる工期を適正に負担することも発注者の役割です。調査費を削る値引きと、不要な作業を精査することは同じではありません。比較見積では各社へ同じ図面と工事範囲を渡し、石綿関係の項目を横並びにします。

調査後は結果報告書と現場掲示を確認する

厚生労働省は、事前調査結果の記録を3年間保存し、作業場所へ備え、概要を見やすい場所へ掲示する必要があると案内しています。発注者向けページでは、調査終了後に石綿事前調査結果報告書の提出を求めること、工事後に飛散防止措置の実施記録を受け取ることも勧めています。

当メディアの「解体前のアスベスト事前調査。施主が確認すること」は調査全体の流れを扱っています。本記事では「80㎡未満なら不要」という誤解に絞りました。床面積に関係なく調査項目を見積へ入れ、行政報告が必要かは別の列で確認してください。

次の行動は3つです。①図面・確認申請副本・改修履歴を探す、②資格者・調査範囲・報告書を見積で確認する、③80㎡基準は調査ではなく結果報告の判定として分ける。

一宮・尾張で実家解体を相談する場合は、建物の床面積と築年、図面の有無を伝え、石綿事前調査を含む見積内訳を依頼してください。

確認した一次情報

石綿の調査・報告・届出は工事内容と建材で変わります。個別案件は資格を持つ調査者と所管行政へ確認してください。